渋谷区のリノベーション住宅を設計したとき、施主から最初に言われたのは「夜、外の音が気になって眠れない」という悩みでした。窓を二重にするだけでは解決しない場合があります。音は壁・床・天井で反射し、空間内で増幅されることがあるからです。

寝室の音環境を整えると、睡眠の質が変わる理由

残響時間とは何か

残響時間とは、音が発生してから60dB減衰するまでの時間のことです。コンサートホールでは1.5〜2秒程度が理想とされますが、寝室では0.3秒以下が望ましいとされています。残響時間が長い寝室では、外部からの音が室内で反射・増幅され、実際の音量より大きく感じられます。

吸音素材の選び方

吸音性能が高い素材には、布製のカーテン、カーペット、珪藻土の壁、吸音パネルなどがあります。渋谷区のリノベーション案件では、壁内に吸音グラスウールを追加し、仕上げ面に珪藻土の左官壁を採用しました。珪藻土は多孔質構造を持ち、音を吸収しながら湿度も調整します。

床材の選択と音の関係

フローリングは音を反射しやすく、カーペットは吸音性が高い素材です。寝室にフローリングを採用する場合は、ラグを敷くことで吸音性を補うことができます。ただし、ラグの素材と厚みによって吸音特性が異なります。ウール素材の厚手のラグは、薄いポリエステル製より吸音性能が高い傾向があります。

窓の遮音と吸音の違い

遮音と吸音は異なる概念です。遮音は音が外から入ってくるのを防ぐこと、吸音は室内に入った音が反射・増幅されるのを抑えることです。二重窓は遮音効果がありますが、室内の吸音対策をしないと、入ってきた音が室内で反響します。両方の対策を組み合わせることが重要です。

設計段階で音環境を計画する

音環境の設計は、壁・床・天井の仕上げ材を決める段階で同時に行う必要があります。後から吸音パネルを追加することも可能ですが、デザインの制約が生じます。私たちは寝室と書斎の設計では、残響時間の目標値を設定し、素材の選定と並行して音環境の計画を進めます。

音環境は、完成してから気づくことが多い要素です。設計の段階で一度、寝室の音について話し合ってみてください。